お節重は一の重から与(よ)の重までの四段が本来の形とされます。これは完全を表す三に更に重ねるという意味があり、四を使わずに与を使います。お節料理に用いられる祝い肴は、おめでたい語呂合わせや縁起を担いだ意味合いを持つお料理が殆どです。
お節料理に欠かせないとされるのが三つ肴(祝い肴三種)です。関東では黒豆、数の子、田作り、関西では黒豆、数の子、叩き牛蒡を指します。
数の子は鰊の子。卵の数が多いことから子孫繁栄を願います。黒豆はまめに働き(勤勉)、まめに暮らせるように(健康)願います。黒は道教で魔よけの色とされています。田作りは片口鰯の稚魚。田畑の肥料にしたところ、米が五万俵も取れたという言い伝えがあることから、五万米(ごまめ)ともいい豊作を願います。
叩き牛蒡は、細く長くに通じる縁起物で、地中深く根を張ることから、家の安泰に繋がる縁起物です。
伊達巻は、巻物に似た形から知識が増えるように願います。
金団は、財宝に通じる黄金色で財産がたまることを願います。
栗は、やりくりが上手くいくことを願います。
紅白蒲鉾や紅白膾の紅白はめでたさと喜びを表します。紅は魔よけ、白は清浄を意味します。
酢蓮根は、蓮根に沢山の穴があいていることから、先の見通しがよいように願う縁起物です。
筍は、天を目指してまっすぐに伸びる竹の子に運気上昇を願います。
慈姑は芽が出ることから、めでたいに繋がる縁起物です。
里芋は、親芋の周りに子芋が沢山出来ることから、子宝に恵まれるという縁起物です。
八つ頭は人の上に立って頭になれるように願うものです。
棒鱈は、多良で良いことが多くあるようにという縁起を担ぎ、正月から多良福(たらふく)たべられる喜びに通じます。
海老は目が出ていることから目出度いに通じ、腰を曲げていることが老人の姿に見えることから長寿を願います。(2014年掲載)