日本は、四季のはっきりした特徴を持つことから、折々の豊富な食材に恵まれています。料理では食材の味わいの変化を走り、旬、名残と表現して、その移ろいを調理法を変えながら楽しみます。
走りは食材の出始めをいい、食材で季節の訪れを知らせることをいいます。旬は食材の出盛りで、栄養価も高くなる頃です。
名残は旬の過ぎた食材を名残惜しむ気持を表します。落鮎の煮浸しのように味を補い、鱧(はも)は松茸との出合いを大切に土瓶蒸しで味わうなど、食材の持ち味を大切にしておいしく使い切る知恵が伝えられてきました。(2014年)