和食トリビア集


醤油(しょうゆ)/soy sauce(ソイ・ソース)

日本料理の食材 なし

和食の特徴的な味わいを生み出す調味料の1つに醤油があります。

むらさき(紫)とも呼ばれる日本の醤油は、大豆と小麦、塩を原料として発酵、熟成させたものです。

醤油は室町時代の終わり頃から関西方面で製造されるようになりましたが、当初は非常に高価なものでした。江戸時代の前期には、関西で生産された味も品質も良い下り醤油が江戸に送られていましたが、庶民には手の届かない高根の花だったとされています。醤油が江戸で日常の調味料となったのは、関東での醤油の製造が盛んになった江戸時代中期以降のことと考えられています。

img_shouyuFY058.jpgのサムネール画像醤油は当初、原料に大麦が使われていましたが、関東で小麦を使う製法が発見されると、その優れた香りや色あいなどから小麦を使う製法が主流となりました。

醤油はJAS(日本農林規格)によって5つの種類(濃口醤油、淡口醤油、たまり醤油、さいしこみ醤油、白醤油)に分類されています。

濃口醤油は、江戸時代に主に関東地方で発達しました。下総(現在の千葉県)の銚子は、関東で初めて醤油の製造を始めた地域として知られ、のちに野田と共に関東の醤油の名産地となりました。濃口醤油は、現在生産量の8割以上を占める最も一般的な醤油で、塩分は16~18%です。

薄口醤油は、播州龍野(現在の兵庫県西南部)で製造されるようになったといわれています。淡い色をしていますが塩分は濃口醤油より2%ほど高く、関西地方を中心に使われています。

液体調味料の醤油の始まりとされているのがたまり醤油です。紀州(現在の和歌山県)の湯浅が発祥とされ、中国から伝わった径山寺(きんざんじ)味噌の製造過程で桶の底にたまった液汁が元になったとされています。濃口醤油や薄口醤油に大豆と小麦がほぼ同じ量用いられるのに対して、ほとんど大豆だけで造られています。

さいしこみ醤油は製造方法からその名前があります。醤油を二度醸造するような製法で造られる醤油で、どろりとして濃厚な味わいです。甘露醤油とも呼ばれています。

白醤油は小麦を主原料に大豆を少量用いて造られる醤油です。薄口醤油よりも色が淡く、主に愛知県で造られています。素材の色合いを生かす料理や料理の隠し味として用いられています。