正月はかつて立春の頃に行われていました。今でも正月に初春や迎春などの言葉を使うのはその名残です。
12月13日は正月事始め(しょうがつことはじめ)。正月を迎える準備を始める日とされています。年末の準備は28日までにするのがよいとされています。29日は二重苦に繋がるとされ、また31日は一夜飾りといって、よくないとされています。
門松は、正月に年神様が降りてこられる依代(よりしろ)として立てるものです。古くから松をはじめとする常緑樹は神様が宿る木と信じられてきました。
また注連縄は年神様をお迎えする神聖な場所を示すために張るものです。現在は注連飾りの形となって、門や玄関などに飾られます。注連飾りは大正月(7日)が終わると外し、小正月(15日)のどんど焼きで門松などと共に燃やします。どんど焼きは左義長ともいいます。
鏡餅は、基本的に床の間に飾るもので、三方に紙掻敷を敷いて、裏白などの上に餅を二つ重ねて据えます。
裏白は穂長ともいい、葉の裏の白色が米の白色にも通じるため目出度い植物として用いられました。葉の裏が白いので、後ろ暗いところのない清浄の心を表します。
譲り葉は、新しい葉が出てから古い葉が落ちるので、子孫繁栄を願い家督を子孫に譲るのを祝う意味があります。
馬尾藻(ほんだわら)は海藻の一種で、藻草に胞子を付けている様が子供を抱えているように見えることから子孫繁栄を意味します。
柿には収穫の喜びが込められ、五穀豊穣を表します。串柿は両端に二つずつ、真ん中に六つ刺します。これは縁起を担いだもので、外は二つで夫婦、仲睦(中六つ)まじくといわれています。柿は嘉来(かき)として喜びに通じるとされています。
橙(だいだい)は冬に熟して黄色くなりますが、夏にはまた緑色になり落ちずに大きくなります。このことから代々とも書き、一家代々の繁栄を表す縁起物とされます。(2013年12月)