中国の古い思想である五行説では、自然界の全ては木、火、土、金、水の5つの気の相互関係で動いていると考えます。この分類はあらゆるものに及び、季節では春を木、夏を火、秋を金、冬を水と決め、残りの土を四季それぞれの季節の終わりに18日間ずつ土用として割り振りました。これは1年を五行説に合わせて5等分した日数73を、四季のために更に4等分した数です。四季それぞれの変わり目に土用があるわけですが、特に陽から陰への転換期である夏の土用が重要視されています。
土用の丑は、夏の土用の期間の丑の日を指し、1年で最も暑さの厳しい頃とされています。
土用の丑の日には鰻を食べる風習があります。この日はウのつくものを食べると夏負けしないといわれます。鰻は特にビタミンAが豊富ですから皮膚や粘膜を丈夫にして、またビタミンB1が豊富でご飯などの炭水化物を効率よくエネルギーに変えてくれます。冬瓜や西瓜などの瓜類は、体の中から熱を取り涼しくしてくれる作用があるとされています。梅干の酸っぱさは疲労回復や食欲増進に効果がありますし、うどんは消化吸収のよい麺類ですから理にかなっているといえます。(2013年掲載)